#なかよし四ろ
忍務でトチって生命の危機に立たされた三木ヱ門が、助けを呼ぶときに叫ぶのはきっと守一郎の名前だろうという話。
四年生全員での合同忍務、敵側に気づかれ交戦となる。
火器を扱う三木ヱ門は援護や遠距離からの攻撃担当。
南蛮鈎を手に駆け回り、敵の動きを封じて味方の援護にまわる守一郎を横目に、三木ヱ門は皆とは少し離れたところへ。
しかし三木ヱ門は戦闘の緊張、気分の高揚から、普段は絶対にしないミスをしてしまう。
それを敵が見逃すはずもなく、味方が離れた場所にいる状況で、三木ヱ門は敵に囲まれ絶体絶命のピンチに。
苦無や手裏剣も携帯しているが、圧倒的にこっちが不利すぎる。
もうダメだと心では分かっていても、無意識に助けを求めてしまう。
引き攣った声は、同室の名前を形作る。
「助けてくれ、助けて守一郎!」
敵の凶刃が閃こうとしたその瞬間、切っ先を受け止める南蛮鈎。
目の前には見慣れた黒髪。
三木ヱ門が求めてやまなかった、守一郎がそこにいた。
守一郎は普段よりもずっと荒々しい仕草で南蛮鈎や苦無を振るい、敵を蹴り上げ、蹴散らしていく。
すぐにほかの四年生も追いつき、三木ヱ門たちは無事に逃げおおせたのだった。
安全なところまで逃げたところで、緊張が解けた三木ヱ門は腰を抜かしてしまう。
守一郎がすぐさま駆け寄り身体を支えるが、三木ヱ門の唇から聞こえたのは「怖かった」の言葉。
普段、誰かに弱音を吐かない彼は、守一郎にだけ本音を見せてくれた。
守一郎も三木ヱ門を助けるのにいっぱいいっぱいだったので、思わずぶわぁっと泣いてしまう。
「俺だって怖かった! 今だって、もう少し気づくのが遅かったら三木ヱ門は、って思うと、すごく怖いんだ」
それからふたりはちょっとだけ抱き合って泣いた。
互いの身体に回った腕は、どちらも小刻みに震えていた。
三木ヱ門は大ピンチの時、無意識に守一郎の名前を呼んでほしい。
守一郎も三木ヱ門を助けるために、周りを顧みず無我夢中だったらいい。畳む