こんにちは、章藤いちごです。
最近、よく「宅録ナレーター」っていう仕事をやってる人の話を聞くけどさ…
ぶっちゃけ「宅録ナレーター」ってなんなのさ?普通のナレーターとは違うの?
「ナレーター」というくくりでは一緒!でも、収録する場所が違うんだよ。
そう、自宅で収録するから「宅録ナレーター」。
スタジオでの録音と違って、その場に音響監督さんやその他のスタッフさん、そして他の声優さんもいないから、何もかもを自分でこなす必要があるのです。
「なにもかも」って…実際なにをしてるの?
それじゃあ今回は、宅録ナレーターが仕事を受注してから納品するまでに密着してみましょう。
宅録ナレーターはどんな場所で活躍してるの?
宅録「ナレーター」というくらいですから、メインはナレーションのお仕事です。
宅録ナレーターの中にはクライアントから仕事を受注し、報酬を受け取る「生業」としている人もいれば、個人的に趣味で活動している人もいます。
大まかに分けると、
・クライアントと契約し、報酬を得ている
→YouTube動画の声優・ナレーター、有償依頼のキャラクターボイスなど
・個人的な趣味の活動
→無償依頼のキャラクターボイス、個人の動画チャンネルや配信アプリでの朗読活動など
趣味の活動でもチャンネルを収益化していたり、配信アプリでギフト(投げ銭)をもらっていたりすると収入を得ていることになるので、明確な線引きは難しいんですけどね。
ほかにもいろいろなお仕事があるのですが、とりあえず今回はこのあたりのご紹介とさせていただきましょう。
YouTube漫画動画の声優・ナレーターをやっている人が多い
YouTubeの漫画動画をご覧になったことはありますか?
漫画形式になっていて、キャラクターのセリフにはボイスが吹き込まれ、音楽や効果音が追加された「動かないアニメ」みたいなものです。
スカッと系や恋愛系のジャンルが多いですかね。たまに広告で流れてくる漫画もこの類です。
ほとんどの宅録ナレーターさんは、この漫画動画で活動をしています。
私・章藤いちごもこの仕事がメインなんだよ!
クラウドソーシングサービスでも「漫画動画の声優募集」の案件が多く、 宅録ナレーターといえばコレ!というお仕事ですね。
ここからはこの仕事にフォーカスを当てながら、宅録ナレーターの仕事の流れについて解説していきますよ!
漫画でわかる、宅録ナレーターの仕事の流れ!受注から納品まで!
せっかくなので、宅録ナレーターが仕事を受注してから納品するまでを動画にしてみました。
こちらの動画で詳しく解説しておりますが、もし動画を見られない状況だったり、ブログ形式の方が読みやすかったりする方は、このまま記事を読み進めて見てくださいね!
私が宅録ナレーターとして活動してることを知っている人も知らない人も、「へー、こんな感じなんだ!」と興味を持っていただけると嬉しいです。
まずはお仕事の受注から!クラウドソーシングサービスやココナラ、SNSなどがメイン
お仕事は自分から探したり、クライアントさんから依頼を受けたり様々です。
お仕事の相談を受けたら、まずはどんなお仕事なのかを確認!
特に問題がなければ同意し、契約成立となります。
台本は先に送られてきたり、契約が成立してから送られてきたりとバラバラ。
台本を受け取ったら、次のステップに移ります。
台本の確認!読み方やアクセントを間違えないように!
さあ、いよいよ台本の確認です。
漫画動画ならどんなキャラクターがいるのか、それぞれがどんな性格・役割なのかを把握しておきます。
私の場合、それぞれのキャラをどういう声色、話し方で演じればいいのかをこの時点で決めています。
ここで大切なのが、漢字・アクセントの確認。
「なんて読むんだ?」とわからない漢字はちゃんと調べるからまだいいものの、いちばん怖いのは「間違ったまま覚えている読み方」。
私も何度かやらかしたことがありまして、YouTubeのコメント欄で指摘されたことも…。
できるだけ、すべての漢字の読み方を確認するぞ!という気持ちでいたほうがいいです。
読み方がわからない漢字の調べ方
「なんて読むんだ?」という単語が出てきたとき…
知っている文字の組み合わせならまだ検索もしやすいのですが、「そもそも見たことがないぞ!?」という漢字に出会うことがありますよね。
台本がWordファイルやグーグルドキュメントで送られてきた場合は、該当する漢字をコピペして調べれば一発なのですが、問題はすでに漫画形式になった画像ファイルで送られてきた場合。
実は漢字を手書きで探せるサイトがあるので、それを活用すると良いです。
書き順がある程度正しくないと、うまく調べられないようですが…そのあたりは気合で頑張って!私にもここまでが限界なんだ!ごめん!
ちなみに今まで、手書きで調べたのは
「頗る(すこぶる)」
「暗澹(あんたん)」
など。あんまり普段使わない漢字、言葉だからね…。
いよいよ収録!マイクどの距離は常に一定、雑音が入らないように!
さぁ、とうとう収録です!
注意点としては以下のふたつ。
・マイクとの距離は常に一定に保つこと
・雑音が入らないように注意すること
まずマイクとの距離を一定に保つのは、マイクとの距離によって声の入り方が違うからです。
初心者の頃はつい距離感がバラバラになりがちですが、声の遠近感をコントロールするのも仕事のうち!
マイクとの距離を一定に保てるよう、少しずつ慣れていきましょう。
雑音についてはエアコンをつけない、同居している人がいる場合は音を立てないようにしてもらう、台本を紙にプリントアウトしている場合はペーパーノイズに気をつけるなどがありますが…
見落としがちなのは、マイクやコードに台本や指などが当たってノイズが入る場合。
これ、収録してるときは「あっ今指が当たったな」とかって気づかないんですよ。
特に、マイクとパソコンをつなぐコードに指や台本が当たった場合。ほんっっっっとに気づかないです。収録中は。
音声の確認をしているときにノイズが入っていることに気づき、何度「うわあぁぁぁぁ」と頭を抱えたか…。
皆さんも気をつけてくださいね…!
ちなみに、私が使っているマイクは「YOTTO」というブランドのUSBマイク。
私が購入したときは2500円弱だったのですが、最近値段がどんどん上がっていますね…。
収録が終わったら読み間違いがないか確認!宅録ナレーターにとっての最難関ポイントはここだ!
収録を終えたら、音声の確認をします。
ノイズが入っていないか、読み間違いはないか、滑舌が甘いところはないかなどなど。
私はこの時点で、ボイス間の空白カットも一緒にやっちゃいます。そのほうが楽なので。
確認の際、読み間違いには本当に注意!
納品後にこちらの音声を確認してくれるクライアントさんだったらいいんですが、たまに確認してくれない・間違いに気づいても指摘してくれないクライアントさんがいます。
YouTubeのコメント欄では「読み間違い警察」が厳しく見張っているので、気をつけてくださいね…
と言っても、私もたまにやらかしてしまうのですが!
宅録ナレーターは音声の編集も仕事のうち。音量調整やノイズ除去を忘れることなかれ!
この点も、スタジオに入って録音するナレーターと宅録ナレーターの違いではないでしょうか。
宅録ナレーターは、録音した音声の音量調節、ノイズ除去などの編集も任されることが多いのです。
この編集がしっかりできると、クライアントさんも喜んでくれますよ。
音量は、どのセリフもなるべく一緒になるように
マンガ動画のセリフなど感情を込めて読む場合、どうしても音量の差が生まれやすいです。
全体の音量を小さいところに合わせて上げてしまうと、元々大きかったところが限界を超えてしまい音割れします。
これを防ぐために、音量が大きい部分はなるべく小さいところに合わせていきましょう。
あんまり小さくしすぎると、それはそれでバランスが悪いので、前後のセリフを聞いてバランスを確認しながら。
音量調節を終えた音声がこちら。
ホワイトノイズの除去は「ノイズサプレッサー」、もしくは「ノイズゲート」で
ここで言うノイズとは、録音した声の後ろで鳴っている「サー」というノイズ(ホワイトノイズ)のこと。
これを除去するには、音声編集ソフトのフィルター「ノイズサプレッサー」、もしくは「ノイズゲート」を使いましょう。
ここでは「Sound Engine free」というソフトを使っていきます。
ノイズサプレッサーとは、特定の周波の音量を調節してノイズを低減してくれるフィルターのこと。
ノイズゲートは、小さな音をカットしてノイズをなくしてくれるフィルターのこと。
ノイズゲートだと細かな息づかいなどもカットされてしまう場合があるので、ノイズサプレッサーがおすすめです。
ノイズサプレッサーをかけた状態がこちら。だいぶホワイトノイズがなくなりましたね。
ノイズサプレッサーのあとは、「ハイパス・ローパス」で高音域と低音域をカット。
これで、ボイスに乗っているノイズもある程度消えます。
極端にフィルターをかけすぎると声の質が変わってしまうので、少しずつ調節しながらかけましょう。
イヤホンやヘッドホンで確認しながら編集すると、変化がわかりやすくておすすめです。
そして、実際にハイパス・ローパスフィルターをかけた状態がこちら。
ハイパス・ローパスをかけたとき、一瞬でノイズが消えるあの感じがけっこう気持ちよかったりします。お試しあれ。
音声の編集に関しては、こちらの記事でもちょこっと言及しております。
保存して納品!お疲れさまでした!
保存が完了したら、クライアントさんに指定された方法で納品をして完了です!
あとはクライアントさんが音声のチェックを(ほとんどの場合は)してくれるので、ミスがあれば修正・問題がなければこれでおしまい。
あとは、納品した音声が動画で使われるのを楽しみに待っていましょう!
自分の声が実際に使われているところを見るのって、やっぱり嬉しいですよ。
さいごに
宅録ナレーターが仕事を受注してから納品するまでの工程は、なんとなくわかっていただけたでしょうか?
宅録ナレーターは音声の編集も任されることが多いため、スタジオ録音に比べてやることが多いです。
最初は大変かもしれませんが、慣れてしまえば編集もあっという間に終わります。
少しずつ慣れていきましょう!
「宅録ナレーターってどんなふうに仕事してるの?」と思っていたそこのあなた。
宅録ナレーターとして仕事を始めるときは、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね!